来年からの大学入試でセンター試験の代わりに大学入学共通テストが導入されるわけですが、英語は外部試験利用が併用して行われることになっています。
現行の【大学入試センター試験】に変わり、2021年度大学入試から実施されるテスト
英語試験は共通テストの枠組みで実施する2技能のマーク式と、民間の4技能を測る資格・検定試験を併用
一体どういう経緯でこういうことになったのか?
英語の能力判定には4技能が大事だからという理由が大きいのでしょうが、それで外部試験を利用することにして、それも7種類ほどの外部試験から選べると決めてしまったせいでものすごく複雑なことになってしまっていますね。
私も高校生の子がいます。
高校2年生ではありませんが、この入試改革に最初に直面する高校2年生(2022年の入試の子たち)は、自分たちが実験台にされていると感じてしまっても無理はないですね。
なぜ英語外部試験利用が不公平か
文部科学省大臣の萩生田氏の身の丈発言
今週文部科学省大臣の萩生田さんがうっかり発言をして非難されました。
英検やTOEFLなど民間試験を使うことについて、反町さんが「お金や場所、地理的な条件などで恵まれている人が受ける回数が増えるのか、それによる不公平、公平性ってどうなんだ」との声があるとして、その部分についての見解をただしたときだ。
萩生田氏は、議論を認めながらも、お金の懸念について、こう説明した。
「それ言ったら、『あいつ予備校通っていてズルいよな』と言うのと同じだと思うんですよね。だから、裕福な家庭の子が回数受けて、ウォーミングアップができるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど、そこは、自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえば」
民間試験は、年2回まで受けられる見込みになっている。
また、地方の受験生については、次のように述べた。
「人生のうち、自分の志で1回や2回は、故郷から出てね、試験を受ける、そういう緊張感も大事かなと思う」
(引用:JーCASTニュース)
萩生田文科相は、29日の閣議後記者会見をし、「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」とテレビ番組で発言したことについて「撤回し、謝罪する」と述べました。
文部科学大臣がこういう発言というか、考え方の元に教育改革を考えていたとは驚きというか、もう悲しいですね…
普段から思っていることは、口からぽろっと出てしまうものですね。
「身の丈」という言い方がまずよくないです。
分相応の受験をしなさいと上から目線で言っていて、子供たちのやる気や可能性を潰す考え方ですからね。
私が中学生だった時に担任の先生から、「あなたたちは凡人。ピカソのような天才とは違うのです。」と言われました。
自分は天才とまではいかなくても、いろいろなことができる自信があったのに、とても暗い気持ちになりました。
英語外部試験のリスト
現時点で利用できるといわれている英語の外部試験はこちら
実用英語技能検定(1-day S-CBT/CBT 3級〜準1級)
GTEC(Advanced/Basic/Core)
GTEC CBT
ケンブリッジ英語検定(8種類)
IELTS(IDP/British Council)
TEAP/TEAP CBT
TOEFL(R) iBT
TOEICは利用からはずされているようです。
TOEICはビジネスシーンで利用されるような背景のテキストが出されることが多いので、高校生に馴染みのある語彙ではないものを勉強しなければいけないので、これは当然かもしれません。
私も上記の検定試験の内容をそれぞれ詳しくは知りませんが、
TOEFLと英検など試験の出題形式などかなり相違がありますよね。
当然勉強の仕方が変わってきます。
でも、子供の得意な形式の検定を受けさせたらいいというわけでもなさそうなんです。
大学の入試方法の調査が複雑になる
大学によって利用する試験が指定されているからです。
例えば、私立大の上智大学はTEAPでしか受けられないということを聞きました。
複数大学を併願する場合、どの検定を受けておけばいいか、大学の調査が必要になってきます。
試験も沢山受けられるだけ受けておこうということもできません。
高校3年生の4月から10月までに受ける2回だけの検定試験の結果しか考慮されないのです。
3回以上受けたとしたら、最初の2回だけ考慮され、最後の1回は無効になります。
例えば、上智大学ともう1校、TEAPで出願できない大学を志望する場合はTEAPを1回目に受験、2回目はそれ以外の検定(英検)を受けるなど、それぞれ1回づつしか受けるチャンスがありません。
一発勝負になりますし、英語検定の種類を指定している大学が多いので、志望校を変えるのも注意が必要です。
かなり前もって志望校の調査をし、それに合わせた英語検定への準備が必要となってくるわけですね。
英語検定試験の受験料が高い
TOEFLは、1回の受験で235ドル(約2万5000円)ほどかかります。
英検は、受験級によって、5800円(3級)~9800円(準1級)ほどかかります。
どの検定を受けるかによって、得点の取りやすさに違いが出ることもあるかもしれません。
受験料の高い検定試験が点が取りやすかったとしたら、受験料が高い検定は経済的に受けられない受験生が不利な状況が生まれてしまいますね。
実際の得点は3年生の2回だけしか、考慮されませんが、準備としてそれまでに検定試験を練習のため受けまくっておくことは可能です。
費用はかかりますが…
その点でも、受験生の経済的な負担は大きく、家庭の所得によって格差が生まれてきてしまいますね。
試験会場もどこでも受けられる試験ばかりではなく、都会に住む受験生は有利になります。
英語だけでもこれだけ複雑なのに、それ以外にも「大学入学共通テスト」では色々な変更があるようです。